アートマガジン『InfoMart』

インタビュー

寺井尚子【2022年3月5日 公演】

1988年のプロデビュー以来30年以上ジャズシーンの第一線を走り続ける寺井尚子がミューズに登場!ジャズとの出会いや今回のコンサートへの想いなどを伺った。

寺井尚子コンサート2022 “Message”

寺井尚子イメージ

音楽を始めた幼少期
〜クラシックからジャズへ転向〜
家のステレオからはいつも“クラシック音楽”が流れていて、ほとんどがヴァイオリンコンチェルトでした。自然と音楽に触れ、最初に認識した楽器の音色もヴァイオリンでしたし、お腹の中にいる時から聴いていたのですから母の影響は絶大です。3歳の時、絵本と定規でヴァイオリンを弾く真似をしていたそうで、私に「ヴァイオリンを習ってほしい」という母の願いと共に、4歳からヴァイオリンのお稽古をスタートしました。6歳から本格的な先生に指導していただき、“学校から帰ると晩ご飯までは練習”という日々を送ってきました。その後14歳の時に腱鞘炎にかかり、先生のレッスンを休むことに…。これまでは「次に取り組む課題曲を何人かのアーティストの演奏を聴いて勉強する」といった音楽の聴き方でしたが、時間的にも余裕ができたことで、あらゆる音楽を楽しんでみようということに変わっていきました。
他のジャンルの知識はなかったのですが、ジャケ買いや何かきっかけがあればすぐ聴くという感じで、さまざまなジャンルに触れていきました。その中で初めて手にしたジャズのアルバムに魅了され、衝撃を受け、頭の中に“自分が自由自在に演奏しているような映像”がイメージとして膨らみ、これを形にしたいと思うようになり、「ヴァイオリンでやってみよう」と歩き出しました。

プロデビューから、修行の10年間 1988 年にデビューし、CDデビューまでの10年間は私にとって修行の毎日でした。積極的にライブやステージをこなす生活をしており、辛かったというよりも学ぶことが多かったですし、何事にもトライしていた日々でした。今思えば私にとってこの修行時代で得たことは大切な宝物です。なかでも、あるセッションをきっかけにケニー・バロン[ピアノ]さんとの出会いがあり、ケニーさんのリーダーアルバムのレコーディングに参加することとなりました。単身での初ニューヨーク、初レコーディングはあらゆる事が新鮮でエネルギッシュで、超一流の世界を観ることができた貴重な時間でした。
レコーディングが終わり、ホテルに向かう車の中で対岸に広がるニューヨークの夜景(スタジオはブルックリン)を見ながら、「信じてきた道は間違ってなかった」と小さくガッツポーズ。この時の経験からたくさんのエネルギーをいただき、多くのことを学びました。それは、今も私の中に生き続けています。

2018年にプロデビュー30周年 後ろを振り返らず、とにかく走り続けてきた感じです。何より一回一回のステージが大切であり、私たちのエネルギーが客席に伝わり、皆様からもエネルギーをいただく、この相乗効果が素晴らしく、共にステージを創っていきたいと常に思っています。そして自分の求めるクオリティに向かって毎回トライし、“それを叶えるための日常を送っていく”。これからも変わることはないと思います。

ニューノーマルなお家時間の過ごし方 世界中が思いも寄らない事態となり、コンサートも中止や延期が相次ぎました。この間、生活自体が変わってしまい、絶望感と何とか希望を見つけたい気持ちとが交互に自分の中に居座り、気がつけば疲れ切っていました。何か少しでも楽しいことはないだろうか?と“おうちごはんを楽しくしよう”企画が始まりました。煮込み用のお鍋を購入し、料理本も見ながらのスタート、以前美味しいお店で教えてもらったちょっとしたアドバイスも役に立ちました。お料理のポイントは“簡単で美味しく”。これが結構難題なのですが…。これからもますますはまりそうです。

『Message 』
〜今回のコンサートへの想い〜
この2年あまり、誰も予測のできない時間を過ごすなか、私自身、今までがどれだけ幸せだったのかを実感し、“普通のことが普通にできること”の素晴らしさを再認識する時間でもありました。コンサートのタイトル“Message” には、「いつの日か皆様と笑顔で会えることを信じて乗り越えていこう」という熱い想いを込めています。また、私はずっとレギュラーメンバーにこだわって、「寺井尚子カルテット」での演奏を続けています。「レギュラーメンバーだから表現できる阿吽(あうん)の呼吸や分厚いサウンド」をこれからも成長させていきたいと常に思っています。コンサートでは、そのあたりも感じていただけたら嬉しいです。3月5日、会場で皆様とお会いできることをとても楽しみにしております。

【2022年3月5日 公演】

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