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インタビュー

小野リサ(ギター)【2020年10月31日 公演】

包み込むような音色と優しい歌声でボサノヴァの魅力を日本中に広げ、昨年デビュー30周年を迎えた小野リサ。自身のルーツや思い出について、また家族との過ごし方やブラジルの現状を伺いました。

小野リサ コンサート2020 Love Joy and Bossa Nova

小野リサ(ギター)イメージ

私の原点ボサノヴァとの出会い 小さい頃過ごしたブラジルは世界中から移民として渡ってきた人が多く、コミュニケーションがとても大事な国です。感情が豊かで明るく、よくしゃべるし、おおらかです。私は、音楽好きなお手伝いさんにいつもくっついてお掃除をしていました。彼女が聴くラジオから流れる音楽を聴いて、どんな曲もすぐに覚えて一緒に歌っていました。ブラジルではサンバやボサノヴァ、様々なジャンルの音楽と触れ合いましたが、あまり声量がなく、どちらかというと静かな歌が好きだった私はボサノヴァを歌うことにしました。いまでは演歌からディスコミュージックまですべてのジャンルを歌うようになりましたが、スピリットはボサノヴァなのです。

輝かしいキャリア デビューした頃は、ポルトガル語で歌うことにこだわりを持っていました。そのことを受け入れてくださった当時のレコード会社のおかげで、憧れのプレイヤーたちと共演もできてとても嬉しかったです。2枚目のアルバム「NaNã」で日本ゴールドディスク大賞のジャズ部門を受賞できたのも嬉しく思っていたのですが、当時は作品一つひとつが形になっていく姿に大きな喜びを感じていました。2013年にはブラジルの最高勲章の一つ「リオブランコ国家勲章」をいただき、ブラジル大使館でマルコス大使から勲章を授与され本当に光栄に思っています。

ジョビン氏との出会い 憧れの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン氏と共演することになったのは、友人のマリオ・アジネさんが提案してくださったからでした。ジョビン氏のピアノの音色を聴いて歌いました。白い道、白い月、遠い夜…。いまでもあのときのピアノの音色と感動を思い返すことができます。ビデオも携帯もなく、ご自宅で練習をしたときの生の音を…。ジョビン氏が初来日されたときと同じ日比谷野外音楽堂で、彼の息子さん・お孫さんと一緒に演奏したことも忘れられない思い出となっています。

愛するブラジルのいま家族の絆 コロナウイルスで世界中の人々がとても苦しんでいます。ブラジルでは感染者数が増えていて、いつも明るい友人たちも毎日不安を感じています。医療も日本のように充実していないなか、早く収束してほしいと願うばかりです。普段は私の仕事が忙しいこともありますが、子どもたちも忙しい毎日を送っていたので自粛期間中は久しぶりにみんなと一緒に過ごすことができました。いろいろなことに気づかされ、家族の絆、希望を持つことを忘れないために、以前子どもたちとレコーディングした音源をもとにYouTubeの動画を制作しました。『*見上げてごらん夜の星を』、この歌は本当に素晴らしい歌だと思います。本当は泣きたいほど悲しいこと苦しいことがたくさんあるなか、星を見上げるのです。私はひとりぼっちじゃなかった。みんなで星を見ているようで涙が溢れるのです。
*「小野リサ LISA ONO 公式YouTubeチャンネル」にて期間限定で配信中

15年ぶりの所沢ミューズ 前回は2005年に伺い、歌わせていただきました。再び訪れることができるのをとても楽しみにしています。毎日本当に心配な日々が続いていますが、どうぞお体を大切になさってください。私の歌う歌が少しでも皆様のお心にぬくもりを送ることができますように。心からお祈り申し上げます。

【2020年10月31日 公演】

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