季刊誌『InfoMart』

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インタビュー

COOL JAPAN FOREST構想
角川歴彦(株式会社KADOKAWA取締役会長)

所沢市と株式会社KADOKAWAが進める共同プロジェクト「COOL JAPAN FOREST構想」。この構想ではみどり・文化・産業の調和を掲げ、2020年には東所沢に「ところざわサクラタウン」がオープンします。「ところざわサクラタウン」には様々なイベントを開催できる大小2つのホール、ミュージアム、ホテル、フードコートや商店街が整備され、さらに物流センターやKADOKAWA商品のストアも置かれます。大プロジェクトを3年後に控え、所沢の魅力を広く発信していこうと意欲に燃えるKADOKAWAの角川歴彦会長にお話を伺いました。

COOL JAPAN FOREST構想 角川歴彦(株式会社KADOKAWA取締役会長)

所沢の魅力 所沢に「ところざわサクラタウン」を建設するにあたり地域のことを調べてみましたが、所沢は広い意味での「江戸」です。徳川家康が開いた江戸幕府の経済圏に入っていて、豊かな農産物、豊富な水資源で江戸を支えていたんです。私は「江戸野菜」は練馬あたりのものだと思っていたのですが、所沢産のものもたくさんある。所沢は江戸の豊かな生活や台所を預かっていたんですね。
国木田独歩の『武蔵野』(明治31年刊)を読むと、自然と人間が行き交う地として所沢周辺のことも描かれていますが、昔から実に豊かな緑を湛えていた。でも、いまはずいぶんと自然が減ってきてしまったので、どう自然を残すか、どう自然を活かすか、そういう意識を持つことが大切ですね。

2020年に東所沢にオープンする「ところざわサクラタウン」 東所沢に完成する「ところざわサクラタウン」の設計は、新国立競技場でも注目を浴びた隈研吾さんにお願いします。「ところざわサクラタウン」のなかには様々なイベントを開催できる2つのホールのほか、図書館、美術館、博物館が一体になった「ロックミュージアム」をつくります。図書館には作家で編集者の松岡正剛さん、美術館には森美術館の館長の南条史生さん、博物館には博物学者で妖怪の研究でも有名な荒俣宏さんにそれぞれ監修していただきます。国会図書館、ルーブル美術館、大英博物館にはかないませんが、そういうところにはない唯一無二の個性を持ったミュージアムにしたいと思っています。一例ですが、美術館には草間彌生さん、村上隆さん、会田誠さん、奈良美智さんなど、世界で活躍されている日本人作家の作品のコレクションを展示します。また、日本のアニメは世界中から非常に注目されていますが、観光の観点からは整備されていません。アニメの聖地と言えるところがどこにもないんです。「ところざわサクラタウン」には日本中のアニメの聖地の拠点としての機能も持たせたいと思っています。歴史的なアニメから最新のアニメまで、アニメのすべてが集結するミュージアムにぜひ注目してほしいですね。

芸術文化とポップカルチャー 「ところざわサクラタウン」のターゲットは若い世代、一方、所沢ミューズは40〜70代を中心にした会員組織があるようですが、会員運営の一体化など柔軟に交流できたらいいですね。所沢ミューズもコンサートを中心に様々なイベントを開催していますが、東京の人に「所沢は頑張っているね〜」と上から目線で褒められても嬉しくないでしょ⁉日本の文化の一端を担う、東京をびっくりさせてやる、くらいの意気込みがほしいですね(笑)。KADOKAWAと所沢ミューズが一緒に取り組めることはいくつもあるはずですから、そこは若い人に知恵をしぼってほしいですね。KADOKAWAは書籍や文芸が1つの柱ですから、「ところざわサクラタウン」のオープンをきっかけに地域の魅力を発信する雑誌を創刊しようと思います。雑誌の名前は『武蔵野樹林』に決めました。多くの人に読んでもらえるよう、困難はありますがやるつもりです。そこではKADOKAWAの考える文化性がどんなものか示したいと思っています。徳川家康や国木田独歩が想いを巡らせた所沢周辺の土地の魅力を引き出して、新しい文化を一緒に築いていけるよう頑張りましょう

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