季刊誌『InfoMart』

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インタビュー

成井豊(「演劇集団キャラメルボックス」脚本家)【2017年11月3日 公演】

結成から30年で日本を代表する劇団に成長した「演劇集団キャラメルボックス」。昨年11月にミューズで上演された「嵐になるまで待って」は完売し、追加公演を行ったほどの大人気演劇集団が再び所沢ミューズに登場します。創設メンバーの1人であり、脚本家としてもカリスマ的な支持を集める成井豊さんにお話を伺いました。

成井豊(「演劇集団キャラメルボックス」脚本家)

1985年劇団結成の頃 早稲田大学の演劇サークル「てあとろ50’」出身者の私と、加藤昌史、真柴あずきが劇団創立を立案。1985年6月30日、BIGBOX高田馬場前に10人が集まり、演劇集団キャラメルボックスがスタートしました。
当時は、野田秀樹さんや鴻上尚史さんの劇団が物凄い人気で「小劇場ブーム」と呼ばれていましたが、キャラメルボックスはそのブームからははずれていましたね……稽古場の確保にも苦労しました。あちこち転々とし早稲田大学の大隈講堂前の広場で稽古したこともありました(笑)。

才能溢れる劇団員たち 劇団結成時から今でも残っているのは、創立立案者の3人だけです。当時私は埼玉県立日高高校の教員をしていましたが、他のメンバーも大学生や社会人でした。
現在では、映画「図書館戦争」シリーズやテレビドラマ「空飛ぶ広報室」にも出演している阿部丈二、「忍たま乱太郎」や長寿音楽番組「COUNT DOWN TV」のCGのキャラクターなどの声優としてもベテランの領域にある石川寛美、ドラマやCMに数々出演している石原善暢など、約40名が在籍しています。皆舞台を中心に活躍していて、特に岡田達也、大内厚雄、畑中智行、多田直人などは1年中どこかしらの舞台に出演し続けています。
元劇団員では、やはり上川隆也が有名でしょうか。代表作はNHKドラマ「大地の子」、現在は「遺留捜査」に主演していますね。

苦悩と成功を重ねて~30年の歩み~ 最も苦労した公演は、1994年と1996年に東北新幹線の走行中の車内で上演した『やまびこ65号、応答せよ!』です。舞台が新幹線の車両8台の通路。お客さんは自分の車両の通路で演じられる芝居しか見られないという悪条件でどうやって芝居を盛り上げるか、劇団員一同、悩み苦しみましたが、おかげさまでお客さんの反応はよく、読売新聞の一面に採り上げられ、海外からも取材が来ました。
TUBEのギタリスト春畑道哉さんに、1994年『俺たちは志士じゃない』で楽曲提供をいただいたり、ドラマ「相棒」の伊丹刑事役でお馴染みの川原和久さんには1992年の『また逢おうと竜馬は言った』以来数多くの作品に出演いただいたりしています。最近では外部プロデュースの公演ではありましたが、私が脚本・演出を担当した『スキップ』には、元・宝塚歌劇団の霧矢大夢さんや元・乃木坂46の深川麻衣さんにもご出演いただきました。

台本 劇団創立から脚本・演出は全て私が担当しています。小説はポプラ社から3冊、戯曲集は白水社から2冊、論創社から18冊出版されています。また、演劇振興のため脚本26作品を劇団ホームページで無料公開しています。俳優志望者の養成機関として、2003年よりキャラメルボックス俳優教室も開校しています。

恩田陸の初期傑作を舞台化!
『光の帝国』
恩田陸さんの初期の代表作である『光の帝国』を舞台化しました。恩田さんは、『蜜蜂と遠雷』で直木賞と本屋大賞をW 受賞するなど数々の賞を受賞する人気作家ですが、無類のビール好きで、本を読むスピードがとてつもなく速い人でもあります(笑)。劇団員も多くが恩田さんの小説のファンです。
この作品は、孤独な少年と死に瀕した老人の友情を描いた瑞々しいファンタジーです。8年前の初演は1時間の短編としてやったのですが、1時間に収めるのが本当に大変でした。今回は時間の制限がないので、初演で泣く泣くカットしたシーンやセリフを復活させることができ、『光の帝国』という芝居を、真に完成させることができると思います。
主演の関根翔太と森めぐみは入団して初主演ですが、役者として伸び盛りで、大変魅力的な二人です。

所沢ミューズ公演に向けて 昨年秋、『嵐になるまで待って』で初めてお邪魔しましたが、追加公演を行うほどたくさんの方に来ていただいて、本当に感謝しています。私は埼玉県飯能市の出身で、西武ライオンズのファンでもあるため、所沢はほとんど地元。なので、故郷に錦を飾った、と感じています。
『嵐になるまで待って』はサイコ・サスペンスでしたが、『光の帝国』は少年を主人公にしたファンタジー。キャラメルボックスの全く違う顔をお見せします。ご来場を心よりお待ちしています。

【2017年11月3日 公演】

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